【最高導師】
「――これより、女神の巫女選定の儀を行う!!」

 祭服をまとった老人の声が大聖堂に響き渡ると、
その場に集った少女たちは、とうとうこの時が来たのだと
ざわめき立つ。

 神のお告げ――『神託』により、『女神の巫女』が選ばれるその時が。

 女神の巫女に選ばれるのは、巫女候補の内、たったの一人だけ。
己の努力が実り、世界を守護する女神の巫女となるのか。
はたまた、すべてが水の泡となって終わるのか。

 女神の巫女選定の儀とは、巫女候補たちにとって最大の審判の日。

 ……であるはずなのだが、集うほとんどの巫女候補たちは、
周囲の候補たちとまるで他人事のように、
誰が女神の巫女になるのかを声を潜めて語らっていた。

【巫女候補1】
「ねえねえ、どちらが女神の巫女に選ばれるかしら?」

【巫女候補2】
「ふふん、それは当然ナギ様に決まってますわ」

【巫女候補3】
「あら、それは聞き捨てなりませんわね。
ナギ様も確かに素晴らしいお方ですけど、
ミリネ様も負けておりませんわよ!」

 いや実際、もはや他人事であるのだ。
なぜなら、彼女たちは理解しているから。
女神の巫女になるのは『二人』の内どちらかなのだと。

 もちろん彼女たちにも、女神の巫女になるべく
懸命に努力した矜持があった。意地があった。

 だが、それ以上に、誰よりも努力し、誰よりも優れた二人の巫女候補を、
嫉妬を抱く心すら失せるほどに尊敬していた。

 彼女ら、二人の筆頭巫女候補のことを。

 筆頭巫女候補――
それはいまやナギを指すだけの言葉ではなくなっていた。

 血反吐を吐くほどの努力の末に、
ナギに並び立つほどの実力を身につけたミリネは、
今やナギに並び立つ存在となったのだ。

【ナギ】
「とうとうこの日が来ましたわね、ミリネさん」

【ミリネ】
「う、うん、うん! そ、そうだねぇ!」

 隣り合って選定の儀の行く末を見つめる二人。

【ナギ】
「はぁ……。アナタのその緊張グセは相変わらずですわね。
まったく、儀式の時くらいしゃんとなさいな」

【ミリネ】
「そ、そそそそ、そんなこと言ってもさナギちゃん!
やっぱり、私みたいな田舎娘が女神様の巫女になるなんて
恐れ多いっていうかさ……分不相応っていうか……」

 ポカッ!

【ミリネ】
「あいたッ!」

【ナギ】
「まったく、みっともない弱音はお止めなさい。
それではライバルであるわたくしの株まで下がってしまいますわ!」

【ミリネ】
「うう、ご、ごめんね、ナギちゃん……」

 努力の末、成長したミリネであったが、その性格は変わらないようであった。

 いまだ不安に体を震わせるミリネに大きなため息をついたナギは、
仕方ない子ですわね、と微笑む。

【ナギ】
「アナタはなぜ、女神様の巫女になりたいのですの?
それをもう一度思い返してみなさい」

【ミリネ】
「私が女神様の巫女になりたい理由……? それは――」

 ミリネは改めて、自分がなぜ女神の巫女を目指しているのか自問する。

 それは、女神に対する純粋な信仰心。
それは、大切な友人や家族を魔瘴の魔の手から護りたいという慈しみの心。

 そして何より、隣りにいる自分のライバルであり友である彼女に、
並び立ちたい。追い抜きたい。そういった想いを改めて思い返す。

 気づけば、ミリネの体の震えは止まっていた。

【ミリネ】
「うん、ありがとうナギちゃん。
……でも、先に謝っておくね。女神の巫女になるのは私だから」

【ナギ】
「フフフ。そんなジョークまで言えるなんて緊張は解けたようですわね。
これで、わたくしが女神様の巫女に選ばれたとき、
盛大にわたくしを褒め称えることができそうですわね」

【ミリネ】
「アハハ。言うね〜ナギちゃん」

【ナギ】
「フフフ。アナタこそ」

 微笑み合う二人。
競い合う間柄なれど、互いを認め合うライバル同士として、
笑みを浮かべるミリネとナギ。

【最高導師】
「皆の者。よく聞け。先程、神の言葉を賜った!
神より指名を賜りし、今代の女神の巫女は――」

 そして、最高導師の声が響き渡る。

【最高導師】
「――――である!」

【ナギ】
「何ですって!?」

【ミリネ】
「そんなことって!?」

【巫女候補たち】
「「「えええええ〜〜〜〜〜!?」」」

 最高導師が告げた驚きの神託に、場は騒然とするのであった……


………………

…………

……

>>≪ゲーム本編へ続く≫





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